民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 03-463-0065)

対象分野 廃棄物管理
対象分野詳細 収集・運搬、中間処理(3R、焼却、コンポスト化、分別等を含む)、最終処分場管理等
SDGsゴール 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任
対象国 エジプト
対象地域(州・県名) 主にナイルデルタ地域と大カイロ圏
対象国・地域の現状 エジプトの人口は1億を超え、物資は他のアフリカ諸国に比べて豊富に入手可能である。居住可能な地域はナイル川沿岸地に限られることから、この地域の人口密度は非常に高く、1つの都市から相当量の廃棄物が発生するが、政府主導の廃棄物管理の体制整備が遅れており、廃棄物処理は多くの課題をはらんでいる。
近年世界的に焦点が当てられている海洋プラスチック問題に関し、エジプトはグローバルレベルで上位の流出元と位置付けられており、アフリカ大陸においては最大(ワースト1)と言われている。エジプト政府は海洋プラスチック問題に対応するため、まずはプラスチック製品のうち利用者人口の大きい一時利用プラスチックバッグ(Single Use Plastic Bag; SUPB)に焦点を当て、SUPBを規制する方向で検討を進めている。
この動きに関し、日本政府は2019年のG20において、エジプトの海洋プラスチック問題に対応することを首脳レベルで合意している。日本政府はUNIDOへ出資することでエジプトの海洋プラスチック問題について実態調査を進めているが、今後は具体的なアクションも望まれる。
解決すべき課題 海洋プラスチック問題(≒SUPBの規制)への対策として、環境負荷の低い代替素材の導入(後述13)と、リサイクルの推進等が考えられる。
代替素材に関し、生分解性プラスチックやコンポスタブルな有機素材も検討の俎上に上がっているが、エジプトは砂漠気候で降雨量が極端に少ないので、適切に分解する環境条件を確認・検討する必要がある。
リサイクルは行政主導の整備に遅れがあり、民間セクター(インフォーマルセクター含む)が大都市を中心に活動しているが、行政指導が無いことから分別が進まず、全てのゴミが廃棄場に集められる。集められたゴミは、業者が人力でリサイクル可能な一部の物品(家電、金属類、ペットボトル等)を選別しているが、物理的に危険なだけではなく衛生上のリスクも高く、またSUPBはリサイクル技術(主に洗浄の問題)が無いため結局ゴミとして放置されている。
また、地方都市では住民団体が細々と収集活動しているに過ぎず、住民の意識の低い地域では近隣の排水路に投棄されることが多い。更に、大都市に比べると廃棄物収集のスケールメリットが小さいため、効率的なリサイクル技術の導入がリサイクル推進のインセンティブになる可能性は有る。
収集・分別はじめ、3Rへの一般市民の理解・認識を高める必要性も大きい。
活用が想定される製品・技術・ノウハウ ・(主にプラスチック)ゴミをリサイクルするための技術(廃棄物の集合体からプラスチックを単離、汚れたプラスチックの自動洗浄、等)
・環境負荷を与えずに分解可能な代替素材の導入
・環境教育等
市場規模 エジプトで登録されているプラスチック関連企業は4,890社であるが、インフォーマルセクターがその倍以上存在すると言われている。2019年におけるプラスチック業界の経済規模は93.5億ドルで、そのうち35%がSUPB関連と言われている。
関連する公的機関 Regulatory Authority for Waste Management (RAWM), Egyptian Environmental Affairs Authority (EEAA), Ministry of Environment, Ministry of Industry and Trade
関連するJICAの方針 2019年G20で共有された「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」及びその達成のための国家指針「Marineイニシアティブ」の現場レベルでの対応。きれいなアフリカの街プラットフォーム(ACCP)の実施。
対エジプト開発課題「基礎的社会サービスの改善」及び「産業開発」に合致。
関連するODAプログラム・プロジェクト JICAエジプト事務所は、SUPB規制に関するエジプト政府の活動をサポートすべく、これまでの検討状況や他ドナーの協力結果等をまとめる努力をしている。
留意点 SUPBの代替素材として、具体的には以下がエジプト国内で検討されている。
1.布バッグ(不織布含む)
2.植物由来のコンポスト可能な物質(紙を含む)
3.生分解性プラスチック
4.エコバッグ
これらに加えて、エジプト政府は通常素材SUPBのリサイクルの推進も検討しているが、上記7のとおり技術的な課題がある。代替素材に関してはエジプト政府の方針策定を慎重にフォローすることが望ましい。
リスク
備考
参考動画

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