民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 05-027-0116)

対象分野 産業振興
対象分野詳細 貿易・投資促進
SDGsゴール 8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
17. パートナーシップで目標を達成しよう
対象国 ベトナム
対象地域(州・県名) ベトナム全土。ただし、ODA事業がこれまで行われた乃至これから行われる予定の主な以下地域・機関が、ODA 事業の更なる効果発現の観点から優先される。 ハノイ市:ハノイ工業大学、ハノイ工科大学、ハノイ工業職業訓練短大、技能技術職業訓練短大、ハノイ・ハイテクノロジー職業訓練短大 ホーチミン市:ホーチミン工業大学、ホーチミン市職業訓練短大、ホーチミン市技術職業訓練短大、カオタン技術短大 ハイフォン市: 第二交通運輸中央職業訓練短大、ハイフォン職業訓練短大 ダナン市: ダナン職業訓練短大 ビンフック省: ビンフック職業訓練短大、商工短大 ハナム省: ハナム職業訓練短大 ドンナイ省: 機械・灌漑職業訓練短大 バリアブンタウ省: バリアブンタウ・技術職業訓練短大 フーイエン省:中央商工短大 フエ市:フエ工業短大
対象国・地域の現状 ベトナム国においては、社会経済開発計画を5年おきに設定しており、現在2016年〜2020年社会経済開発計画(SEDP:Social Economic Development Plan)の期間中である。
同計画においては、2020年までに工業セクター(建設含む)がGDPの40%、うち工業が25%、製造業が15%を占めるようになることを目標としている。
かかる計画の下、過去5年(2013〜2017年)の実質経済成長率は約6〜7%を維持し、海外直接投資(FDI)も2007年のWTO加盟以降上昇し続けており、ASEAN有数の流入国となっている。しかし、部品等の現地調達比率は30%程度と他ASEAN主要国(40〜50%)に比して低く、地場の企業(特に中小企業)への裨益が少なく、生産性の高い大企業と生産性の低い小企業との間で二極化が進んでいる。中小企業は企業数の98%、雇用の63%、GDPの45%を占めているものの、輸出の70%を占めるFDI企業のサプライチェーンに参画できている企業は21%に留まる。これは、いわゆる”Missing Middle”と言われる中堅企業の不在の問題とリンクしており、2017年のベトナム国の統計局の統計によると、大企業が1.3%、中企業が1.4%に対して小企業が21.4%、零細企業が75.9%と大多数を占め、裾野産業における中小企業の育成が必要となっている。
解決すべき課題 裾野産業における中小企業の育成に関し、機械加工、電子、電気、自動車分野は様々な製造業のサプライチェーンを支える基盤となる産業分野であり、これら分野が発展することにより、国全体の産業競争力強化及び工業国化に大きく貢献することが期待でき、今後も同分野の技能を有する人材の需要が高まることが見込まれる。
ベトナムの総人口の約60%を占める豊富な労働力は外国直接投資誘致の強みの一つとなっている一方、産業発達を支える質の高い人材は不足しており、労働人口のうち、十分に訓練された労働者は30%程度に留まっており、中間管理職、技術系管理者、熟練工の不足が指摘されている。ベトナムにおいて職業訓練政策は労働傷病兵社会省(MOLISA)の職業訓練総局(DVET)が策定し、各職業訓練機関は、MOLISA及びMOLISA以外の関係省庁(商工省、農業農村開発省等)並びに各省・市の人民委員会が監督している。職業訓練機関は全国で1,498機関(2018年)あるが、その多くで指導員の経験・技能不足、資機材購入の予算不足等を原因として、産業界の人材ニーズを十分に反映した職業訓練を提供できておらず、これら原因の解決が課題である。また、ベトナム側からはインダストリー4.0に対応した人材・産業育成への高い期待が寄せられている。
活用が想定される製品・技術・ノウハウ 裾野産業の中小企業労働者・技術者への職業訓練・技術指導に関する技術、ノウハウ、機械・治具工具、教材など
市場規模 全国の職業訓練機関約1,500機関
関連する公的機関 労働傷病兵社会省(MOLISA)職業訓練総局(DVET)、商工省(MOIT)、計画投資省(MPI)企業開発庁(AED)、農業農村開発省(MARD)、各省・市人民委員会
関連するJICAの方針 JICAは、2013年7月に首相承認された戦略重点6産業(@電子、A農業機械、B農水産品加工、C造船、D環境・省エネ、E自動車・同部品)の策定を支援した。その実施に向け、中小企業・裾野産業の振興を重点的に支援する。円借款と連携しベトナム国内の対象職業訓練機関の機械加工、電気、電子分野の訓練に必要な機材の整備を行い、対象職業訓練機関の機能強化を図り、もって質の高い技能者の育成に寄与すると共に、ベトナム政府側の自立発展や持続可能性を促す方針としている。地域横断的な視点では、民間セクター開発分野の課題別事業戦略(クラスター戦略)において、「経済成長に不可欠な多数の民間企業の成長を支援し、生産性向上と雇用創出を通じて質の高い成長に貢献すること」を目指し、これらにより持続可能な開発目標(SDGs)のゴール8「経済成長と雇用(ディーセント・ワーク)の促進」、ゴール9「インフラ整備による持続可能な産業化と技術革新の拡大」及びゴール17「グローバルパートナーシップの活性化」の達成に取り組んでいる。
関連するODAプログラム・プロジェクト 円借款:
高等教育支援事業(IT セクター)(2005 年〜2016 年)
職業訓練機能強化事業(2018 年事前通報済)

技術協力:
ベトナム日本人材開発インスティテュート(2000〜2021年)
ハノイ工科大学ITSS 教育能力向上プロジェクト(フェーズ1:2006年〜2008年、フェーズ2:2009 年〜2012 年)
ハノイ工科短大機械技術者養成プロジェクト(2000 年〜2005 年)
ハノイ工業大学技能者育成支援プロジェクト(2010 年〜2013 年)
ハノイ工業大学指導員育成支援プロジェクト(2013 年〜2016 年)
ホーチミン工業大学重化学工業人材育成支援プロジェクト(2013年〜2018 年)
職業能力開発制度アドバイザー(2015-2018)
中小企業振興・産業基盤強化プロジェクト(2020〜2023年)
留意点 ODA事業がこれまで行われた乃至これから行われる予定の主な地域・機関への提案が、ODA 事業の更なる効果発現の観点から優先される。
リスク ・世界経済・ベトナム国・対象地域において、マクロ経済状況が大きく悪化しない
・対象分野(機械加工、電子、電気、自動車)において、産業構造が大きく変更しない。
・ベトナム国・対象地域において、中小企業振興・裾野産業振興に係る政策が大きく変更されない。
備考
参考動画

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