民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 04-548-0102)

対象分野 水の浄化・水処理
対象分野詳細 水供給・上水道(水源開発、浄水処理、無収水対策、配水管理、水質検査、顧客管理等)
SDGsゴール 6. 安全な水とトイレを世界中に
対象国 タンザニア
対象地域(州・県名) ザンジバル
対象国・地域の現状 タンザニア連合共和国を構成する島しょ部のザンジバルでは、英国統治時代の1920年代より上水道システム整備が始まり、それ以降、水源は現在に至るまで地下水に依存している。1964年以降はザンジバル革命政府(以下、「RGoZ」)が上水道施設整備を所掌、1982年には社会保障的観点から水道サービスが無償化され、その結果、財政難により新規水源開発や給水施設の更新が困難となり、給水時間の短縮や水圧の低下など水道サービスが著しく低下した。その後、2006年に制定された水法により、ザンジバル土地・住宅・水・エネルギー省の管轄下にあるザンジバル水公社(以下、「ZAWA」)が水道サービスの運営を始め、水道料金徴収を再開した。しかし、無償化に慣れた住民による料金支払い率は低く(ザンジバルで最も主要な島であるウングジャ島全体での水道料金徴収率は6.4%)、収入が不十分なことから、ZAWAは老朽化した施設を更新・改修できず、漏水率は6割と言われ、給水時間は平均6時間未満に限られている。低い水道サービスにより料金徴収率が下がり、料金収入減少による資金不足により施設更新ができず、水道サービスがさらに悪化するという悪循環に陥っている。その結果、水道サービスに頼らず独自に私有井戸を設置する住民も多いため、無秩序に地下水が取水されている。
 支払い意思の問題に加え、住民票制度が未整備なザンジバルにおいて顧客管理が困難である点、またこれにより網羅的かつ体系的な料金徴収が困難である点も、無収水の増加及び料金収入の停滞に拍車をかけている。加えて、ザンジバルでは人口増加率が高く(ウングジャ島の人口増加率は3.7%。2012年)、これに伴い水需要の増加が見込まれることから、更なる地下水源開発への圧力も大きい。このまま無計画な地下水源開発や不適切な地下水利用を続ければ、地下水の枯渇や、取水位置によっては塩水化などの問題を引き起こすリスクがある一方、地下水位モニタリングやデータの収集・分析、水資源賦存量データに基づいた取水計画の策定等の重要性が十分に理解されておらず、殆ど行われていない。
解決すべき課題 井戸データの整備、代替水源の検討、地下水資源の評価、取水量の監視、塩水化状況の監視、顧客管理、料金徴収、老朽化した水道施設の現状評価と施設対策(修繕、更新)、その他無収水対策(漏水探知等)
活用が想定される製品・技術・ノウハウ アイデアとしては以下のとおりであるが、これに限定するものではない。
・給水時間増、水圧確保に向けた、老朽化した水道施設評価技術及び修繕技術
・スマートフォンのアプリケーション等による顧客管理システム
・スマートフォンのアプリケーションやモバイルマネー等を活用した料金徴収サービス
・プリペイドメーター/検針を効率化するためのスマートメーターの導入
(上記はいずれも顧客登録を済ませ、料金を支払う者のみに水道サービスが提供される環境を構築するもの)
・衛星画像等を活用した井戸データの整備、設置・利用状況の監視
・補助的な代替水源の開発(雨水利用等)
・(現時点では困難だが、ZAWAが水資源管理の必要性を十分に理解した上での将来的なニーズとして)流量、水位、水質等を測定するセンサーとIoTの遠隔の水源監視
・その他無収水対策に資するサービス・技術(管路図が不十分な環境下での漏水探知・削減技術等)
市場規模 ザンジバル諸島の本島に当たるウングジャ島の人口は約90万人(2012年)、うち人口が集中する同島のアーバンウエスト州は約60万人(同)。
関連する公的機関 ザンジバル土地・住宅・水・エネルギー省(Ministry of Lands, Housing, Water and Energy (Zanzibar))
ザンジバル水公社(Zanzibar Water Authority (ZAWA))
関連するJICAの方針 ・対タンザニア連合共和国国別開発協力方針(2017年9月)
 重点分野3 ガバナンス・行政サービスの向上
 課題開発3−2 行政サービスの改善(給水強化プログラム)
・課題別指針: 水資源
・ポジションペーパー: JICAの水資源分野の協力方針
(https://www.jica.go.jp/activities/issues/water/index.html)
関連するODAプログラム・プロジェクト 個別専門家「ザンジバル水アドバイザー」
留意点 製品・サービスの購買者、維持管理者として想定される主体(ZAWA等)のキャパシティやリソースに応じた提案であること(技術的な簡便性、安価な維持管理費及び初期費用等)、また水道サービスの顧客のインセンティブを十分に考慮した提案であることが望ましい。後者に関しては、水道料金の支払い意思が低い点を考慮した上で、スマートフォンの保有状況なども踏まえ、アフォーダブルかつ有効な製品・サービスとなるよう検討するとともに、併せて住民への啓発・教育プログラムの実施等を検討すること望ましい。
 上記のとおり、ZAWAの財務状況には懸念があるため、基礎調査もしくは案件化調査から着手する、水道事業体以外を顧客とするビジネスモデルを提案することも有効。
リスク
備考
参考動画

このページは、当機構が契約するスパイラル株式会社情報管理システム「スパイラル」が表示しています。