民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 03-024-0048)

対象分野 廃棄物管理
対象分野詳細 収集・運搬、中間処理(3R、焼却、コンポスト化、分別等を含む)、最終処分場管理等
SDGsゴール 3. すべての人に健康と福祉を
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任
対象国 ラオス
対象地域(州・県名) 首都ビエンチャン、サワナケート県、チャンパサック
対象国・地域の現状 ラオスでは、近年の都市化進行による人口増加の影響を受け、都市の最終処分場の残余容量が不足しつつあり、廃棄物収集率も低水準に留まっている。有害廃棄物や医療廃棄物についても、適正な処理がなされないまま一般廃棄物の処分場や空き地に投棄されているケースが多い。また、主要都市には廃棄物の最終処分場はあるものの、人材、技術、機材及び運営費の不足等の理由から、環境上適切な埋め立て処分ができないため、火災や病害虫の発生や悪臭等の問題が顕在化している。
ラオスでは、第8次国家社会・経済開発5か年計画(2016–2020)に基づき、工業化を推進し、経済特区(SEZ)を中心に日本をはじめとする製造業等の誘致を積極的に進めている一方、ラオスの廃棄物関連法規では、産業廃棄物について明確な定義がなされておらず、法令で許可を受けた産業廃棄物処理業者が適正に収集・運搬・処理・処分を実施する体制・環境とはなっていない。このため、進出した企業が自ら廃棄物の焼却や最終処分を実施することも多く、中には自社の産業廃棄物を長期間自らで保管せざるを得ない状況が発生しているとも言われている。
解決すべき課題 ラオス天然資源環境省(MONRE)は廃棄物処理に係る基本法を策定することにより、現在法制度が未整備の産業廃棄物等を適切に管理する必要性を認識するとともに、アジア太平洋地域における循環経済の推進の観点から、リサイクルを志向した廃棄物処理体制の構築も必要としている。
そのため、これら有害廃棄物、産業廃棄物、医療廃棄物を含めた適切な廃棄物管理が重要な課題となっている。
活用が想定される製品・技術・ノウハウ (1) 産業廃棄物/有害廃棄物/医療廃棄物の適正な収集運搬、積替え保管の実施
(2) 管理型処分場と浸出水処理施設の設置と適正な運営管理
(3) 廃棄物リサイクル施設の設置と適正な運営管理(建設系廃棄物、
プラスチック廃棄物、有機系廃棄物、e-wasteなどを含む)
※ラオス政府(地方自治体含む)の財政状況から日本の行政サービスをそのまま適応させるビジネスモデルは実現可能性が低いため、排出元となる民間事業者等の廃棄物処理コストの軽減や廃棄物・排水量を削減できるような革新的な技術や製品の提案が求められている。
市場規模 国内SEZ12か所(産業廃棄物)
関連する公的機関 天然資源環境省(MONRE)、各県天然資源環境局(DONRE)、産業商業省(MOIC)、保健省(MOH)
関連するJICAの方針 「対ラオス人民民主共和国国別開発協力方針」(2019年4月)における重点分野「環境・文化保全に配慮した均衡のとれた都市・地方開発を通じた格差是正」
関連するODAプログラム・プロジェクト 中小企業海外支援事業「ビエンチャン市における医療廃棄物を含む有害廃棄物処理・管理改善に向けた普及・実証事業」
基礎情報収集・確認調査「廃棄物セクターに係る基礎情報収集確認調査」(実施中)
留意点 (1)ラオス政府の財政不足により、ラオス政府を顧客/ビジネスパートナーと想定としたビジネスモデルは、政府による予算措置が困難になる可能性が高いため、官需だけでなく民需も合わせたビジネス展開計画の検討が必須となる。(ただし、新規の行政サービスではなく、既に存在する装置やサービスの代替提案の場合は可能性あり。)
(2)ラオスでは環境基準や廃棄物・排水処理に係る法制度や基準が整備されていても、罰則規定等がないため運用にまで至っていないことが多く、ビジネス展開に影響を与える可能性がある。
(3)廃棄物・排水処理後の副産物の商業利用等を含めた収益化による処理費用の捻出等、収入源の検討が必要。
(4)経済発展に伴い外資系製造業の進出は促進されているものの、規模としては近隣諸国と比較しても小さく、排出される廃棄物の量も相対的に少ないと思われる 。
リスク
備考 現在「廃棄物セクターに係る基礎情報収集確認調査」(2020年2月〜2021年2月)において、上記各課題の現状及び対策支援に活用し得る本邦技術の適用可能性につき調査済み。調査結果は今後JICA図書館にて公開予定。
参考動画

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