民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 06-045-0133)

対象分野 福祉
対象分野詳細 社会保障(障害と開発等)
SDGsゴール 3. すべての人に健康と福祉を
10. 人や国の不平等をなくそう
対象国 モンゴル
対象地域(州・県名) モンゴル全土(特にウランバートル市)
対象国・地域の現状 モンゴルは、近年急速な経済成長を遂げているが、雇用吸収力の低い鉱業セクターが経済をけん引する構造にあり、経済成長の恩恵が一般の国民の生活向上に必ずしもつながっておらず、国内の経済格差が拡大している。中でも、就学機会や就労機会が限定されている障害を持つ人々やその家族は特にその影響を受けやすく、多くの障害者が貧困状態にとどまっている。
この様な状況に対処するため、モンゴル政府は、2009年に障害者権利条約を批准し、2012年より人口開発・社会保障省(当時)の下に障害者開発課を設置した。また、2013年には障害者社会保障法や社会福祉法を改正、2016年2月5日には障害者権利法を制定するなど、障害者の社会参加の促進に積極的に取組んでいる。
こうした取り組みや障害者団体と協力した啓発活動の実施により、障害者の人権や社会参加に関する理解が醸成されつつあるが、社会参加を実現するための具体的な施策には依然課題が残っている。
解決すべき課題 障害者の就学・就労機会が限定的であることの背景には、社会における物理面および情報面のアクセシビリティの欠如、支援技術の不足、障害当事者団体の未発達等が挙げられ、障害者の社会参加を実現するための土台作りが不足している。特に、情報アクセシビリティに関しては、TV放送、情報通信サービス、公共機関ウェブサイト等で聴覚障害者や視覚障害者を対象としたコンテンツ(手話通訳、音声案内等)が整備されておらず、情報保障に課題がみられる。また建物や交通機関等における物理的なアクセシビリティも十分に整備されておらず、国内での義肢装具の供給も限定的である。
障害者の社会参加の一つとして、就労機会の拡大は大きな課題であり、就労に必要な環境・制度の整備と企業側の理解の醸成が必要である。
高齢化が進む一方で、介護人材の不足(量・質ともに)している。
活用が想定される製品・技術・ノウハウ ・視聴覚障害者用TV 放送補完システム
・義肢装具、杖、車いす等の補装具
・視覚障害者用読書機、その他視聴覚障害者の情報アクセシビリティを改善する資機材・アプリ 
・障害児の学びをサポートする民間の教育プログラム及び教材(デジタル資材含む)
・障害者の就労支援をサポートするノウハウ(技術訓練提供、企業カウンセリング、マッチング等)
・高齢者介護支援製品
・本邦の消費者をターゲットにした価格設定や特定の目的に特化した製品よりも、障害者の就労促進につながるビジネスモデルやサービスの提案
・新型コロナウイルス感染症に対応して、障害者の情報へのアクセス、感染症への対応に資する製品サービス等の提案。
市場規模 障害者数:約10万7千人
就学障害児数:約7400人
視覚障害者数:約11700人
聴覚障害者数:約8700人
運動機能障害者数:約21500人
(2020年、モンゴル障害者白書)
関連する公的機関 労働・社会保障省、教育・科学省、通信・情報技術庁、国立リハビリテーションセンター、他
関連するJICAの方針 対モンゴル国国別開発協力方針及び事業展開計画を参照
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/kuni_enjyo_kakkoku.html

同方針にて、「包摂的な社会の実現」を重点分野と定め、障害児教育については、「障害児のニーズに合った発達支援モデルの構築、早期診断・発達支援・障害児教育の実施能力強化」を、障害者の社会参加促進については、「障害者情報の整備、障害者の団体の能力強化及び物理面・情報面のアクセシビリティの改善、労働・社会保障省の能力強化」を支援するとしている。
関連するODAプログラム・プロジェクト ・技術協力プロジェクト:障害者就労支援制度構築プロジェクト、障害児のための教育改善プロジェクト(フェーズ2)
・草の根技術協力:要保護児童支援制度の改善および強化支援事業 フェーズ2
・民間連携:モンゴル国日本式地域包括ケアシステム導入に向けた基礎調査
・ボランティア:障害児者支援、他

【参考】
https://www.jica.go.jp/mongolia/office/activities/index.html
留意点 【2021年1月時点の情報】
・「障害者権利法」や「情報・通信に関する国家政策2025」等において、テレビ放送における手話通訳や字幕の導入について規定されているが、各テレビ局での導入は遅れている。
・パソコン上のモンゴル語読み上げソフトは開発されているが、スマートフォンの読み上げソフトは開発されていない。また、モンゴル語の音声入力ソフトは、スマートフォンにて使用可能なアプリはあるが、パソコン用のものは開発されていない。
・国内には義肢装具養成学校がないことから、3Dプリンターによる義肢装具について需要が高いと見込まれる。
・現在、社会保障費(障害者に対する給付金)を用いて補装具を購入している家庭が多いことを考慮すると、機材や道具等の購買力は一定程度見込まれる。ただし、本邦と同様の価格帯で購入できる層は限られるため、単価を下げて購入者を増やせる商品が望ましい。(国として3年に一度必要な福祉用具を申請に応じて無料供与する制度もある。)
2020年12月末の閣議において、障害児の学習用のデジタル教材・インターネットコンテンツの開発・導入が決定されており、需要が見込まれる。
リスク
備考 モンゴルは国連障害者の権利に関する条約に2009 年に批准し、2016 年2 月に「障害者権利法」を制定した。さらに施策の基本計画である「障害国家プログラム」を2017 年12 月に策定するなど、障害者の社会参加に向けた取り組みを活発化させている。また障害者福祉年金や介護者に対する手当等の社会保障制度が整備されている。
※詳細は「2019年版モンゴル国障害者白書 (https://bit.ly/33b8E4N)」を参照のこと

(参考)モンゴル国内の障害者の総数105,691人(内ウランバートル市35,589人)(2019年版モンゴル国障害者白書)
参考動画

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