民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 02-200-0035)

対象分野 環境
対象分野詳細 森林・自然環境保全
SDGsゴール 13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
17. パートナーシップで目標を達成しよう
対象国 メキシコ、ベリーズ、ジャマイカ、ハイチ、ドミニカ共和国、セントルシア
対象地域(州・県名)
対象国・地域の現状 ・カリブ海沿岸地域の複数分野にわたる共通課題:近年、カリブ海沿岸諸国では、気候変動にも起因すると考えられるホンダワラ科の海藻Sargassum(サルガッサム/サルガソ)の漂着が「自然環境保全」「観光促進」「保健医療」「水産」分野に深刻な影響を及ぼしており、地域住民、漁民、観光業者など多様なステークホルダーが被害を受けている。Sargassumの発生メカニズムは諸説あり、年により漂着先や漂着量にはばらつきがあるが、漂着海藻は増加傾向で深刻化している(2019年は特にメキシコでの漂着が顕著、2018年はセントルシアはじめ東カリブ地域全般に影響)。また、Sargassumの大量発生は今後常態化するとの研究もある。
Sargassumは海岸に漂着後放置されると、腐敗し、肌への接触や発生するガスにより健康被害を生じさせる。通常、海中を浮遊するSargassumは様々な海洋生物の生息場所となっているが、大繁殖すると海洋生物やサンゴ、他種の海藻などの生態に悪影響を及ぼす。またカリブ海沿岸地域では、海岸に大量に漂着したSargassumが観光業に損害を与えている。
・国際会議での認識
2019年10月仏領グアダルーペで行われた会議 の結論として、民間企業による肥料化等の取組は一部見られるものの、現時点での地域全体の対応はリサーチレベルや衛星情報を活用したモニタリングなどにとどまり、根本的な解決策は確立されていない。
・水産行政と環境行政:沿岸資源の管理は水産、環境等複数の行政域にまたがるため、政府内の調整、連携が重要となる。
・民間の取組:カリブ海沿岸地域では、Sargassumによる沿岸地域の景観悪化や悪臭により、主要産業である観光業が深刻な影響を受けており、また海岸から撤去するために費やされる人員と費用の負担も重い。回収、廃棄に際し、メキシコやセントルシアでは重機を活用する例もあるが、こうした対策は生態系への負の影響が指摘されており、一般的には多数の人員を動員し、手作業で対応している。メキシコでは環境天然資源省(SEMARNAT)を中心に関係省庁と研究機関との間で連携し対応する仕組みが整えられているが、カリブ海岸沿岸諸国では民間観光業と行政の連携はあまり進んでいない。重要な行政課題であることに鑑み、政府との連携のもと対策をとることが望まれる。現地中小企業では、セントルシアとバルバドスでSargassumを利用した肥料や石鹸などの製造事例がある。
解決すべき課題 ・Sargassumを適切に処理し、持続的な資源として活用する
活用が想定される製品・技術・ノウハウ ・エネルギー化:海藻を原料としたバイオエタノール等の燃料化
・商品化:海藻を原料とした製品を開発し、雇用創出と生計向上を図る。
・肥料化:有機肥料の原料として海藻を活用(セントルシア=中小企業が展開中、ベリーズ=2019年NGOが肥料化をパイロット的に実施、2020年にも継続予定)
メキシコ:資源化、洋上回収技術、堆積物除去技術、他廃棄物との混合焼却技術、焼却発電技術
市場規模
関連する公的機関 メキシコ:環境天然資源省(SEMARNAT)、キンタナロー州政府、国会自然保護区委員会(CONANP)、国家生物多様性委員会(CONABIO)、国家科学技術審議会(CONACYT)
ベリーズ:タスクフォース(官民からなる。チェアはMinistry of Tourism and Civil Aviation)
ドミニカ共和国:環境天然資源省
ハイチ:環境省、内務省、計画省
セントルシア:農業・水産・自然資源省
関連するJICAの方針 課題別事業戦略4.「地球規模課題への取組を通じた持続可能で強靭な国際社会の構築」のうち、中期目標事業戦略の目標:「生物多様性保全について、グリーン経済の推進」、「沿岸域における自然環境保全協力強化」
関連するODAプログラム・プロジェクト
留意点 ・本課題は、他複数分野に亘るテーマであるため、先方政府の行政区分にとらわれず課題に取り組む民間企業の強みが発揮される課題である。
・気候変動による負の影響から「海の豊かさを守る」ことがメインの課題。課題解決のアプローチは環境分野を核としつつ、水産、観光、保健分野のステークホルダーによる「パートナーシップでの取組」が重要となる。
・JICAでの分類は「環境課題」であるが、東カリブ諸国の行政上は水産局が主担当であり、「水産」分野からの要請がハイレベルより挙げられている。一方「水産」は地域では主要産業ながら、行政の対応力と財政力は一般的に弱い。むしろ、もう一つの主要産業「観光開発」では民間が資金を投入している。
・「気候変動」に起因することも予想されるが、明確な根拠は確認できず、かつ、ドナー支援の文脈での「気候変動」では二酸化炭素排出削減のような緩和策・海面上昇に対する防災等の適応策のどちらにも当てはまらないため、国際社会の関心に訴えしづらい。
・海藻はカリブ海に広がることから、ODAスキーム上は一か国を拠点として活動するものの、複数国を対象に成果を共有し、課題解決を目標とすることが望ましい。(特定の自治体や地方における一定
リスク
備考
参考動画

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