民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 07-475-0173)

対象分野 農業
対象分野詳細 水産
SDGsゴール 1. 貧困をなくそう
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
14. 海の豊かさを守ろう
対象国 チュニジア
対象地域(州・県名) Gabes県, Sfax県, Medenine県, Mahdia県, Monastir県 等
対象国・地域の現状 ・チュニジアは地中海に面した海岸線が約1,300kmに亘って伸びており、集魚灯を用いた巻き網漁業、底引きトロール漁業、沿岸漁業がおこなわれている。水揚げ量は、13万t(2019年)程度であり、マグロ、イワシ、アジ、タコ、イカ、エビ等の豊富な水産資源を有する。養殖についても、主に国内消費向けの内水面養殖(1.3万t, 2017年)、輸出向けの海洋養殖(2万t, 2017年)の双方が実施されている。
・ICCATによる漁獲割当が適用されるクロマグロを除き、漁獲量の調整は行われていない。少数の漁業者のみがワタリガニの繁殖期の漁を自粛し卵を持った雌を放すなどの措置を取っている。
・特筆すべき最近の動向としては、@外来種である台湾ガザミ(Portunus pelagicus)の異常繁殖、AIUU漁業や外来種の繁殖による漁獲・生産量の減少、BEU等の外国市場向け輸出促進に向けた機運の高まり、Cコロナ禍による水産物輸出減・零細漁民の生計支援・漁民への感染対策等の対応の必要性、等のイシューが挙げられる。
解決すべき課題 ・(漁民の生計・収入確保を損なわないよう配慮しつつ)持続的な水産資源の活用に向けた共同管理の普及、横行するIUU漁業の取り締まりが課題となっている。特に、チュニジアにおいては水揚げ・流通・消費の各段階においてIUU漁業による水産物が区別なく混入しており、関連対策の重要性が大きい。ローカルレベルで共同管理の枠組みやプラクティスを導入・定着させても、違法業者が自由に侵入し水産物を出荷できる状況があると、合法的な漁民が不利益を被ることになり共同管理を遵守する動機が削がれるため、チュニジアが長きに亘り取り組み定着しつつある水産資源の共同管理の効果発現の観点からも、IUU漁業対策が喫緊の課題である。
・ポストコロナの文脈においては、セクター開発や漁業従事者の収入向上に向けて、水産物の付加価値向上、漁獲から流通に至るバリューチェーン構築の重要性が高い。また、水産物加工産業では零細漁業からの女性が多く雇用されているものの、加工製品の品質には課題があり、十分な収入源とはなっていない。また、冷蔵保存施設・技術にアクセスできない零細漁業者が多い。
活用が想定される製品・技術・ノウハウ ・水産物の鮮度保持・加工・生鮮輸送・高付加価値化関連技術
・高度衛生管理型施設用資機材
・IUU漁業対策関連技術・機材(小型漁船向け船舶監視システム、漁船用RFID、水揚げ場のCDF(輸出用電子データ)等)
市場規模 ・チュニジア国の年間漁業生産量は約13万トン(2017年)。
・チュニジア産水産物の主要輸出先は、スペインやイタリアであり冷凍品が主体。
・ガザミは東南アジア、東アジア諸国で需要が高いが、近年その侵入・定着が確認されたチュニジアでは国内消費が限定的であり、輸出向けと商材としての潜在性が高い。なお、チュニジア産のガザミは大型である。
関連する公的機関 チュニジア農業・水資源・漁業省、漁業生産業者協会(GIPP)等
関連するJICAの方針 地域間格差の是正に向けた生活環境の改善、地方産業振興に向けて、一次産業の高付加価
値化等に協力し,産業の競争力の強化と生計向上を支援する。

特に、下記分野にかかる協力を通じて、上記課題の解決と整合する概念であるブルーエコノミーを推進させることを検討中。
@ IUU漁業対策にかかる政策支援・技術移転(違法操業の監視)
A 水産物トレーサビリティの強化(違法水産物の流通の抑制)
B バリューチェーン構築
関連するODAプログラム・プロジェクト ・漁業資源管理指導船建造計画(2019年度-2022年度(予定))
https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/12327458.pdf
留意点
リスク
備考 JICA対チュニジア国水産分野案件の報告書は以下をご参照下さい。
https://openjicareport.jica.go.jp/890/890_417.html
参考動画

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