民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 03-420-0063)

対象分野 廃棄物管理
対象分野詳細 収集・運搬、中間処理(3R、焼却、コンポスト化、分別等を含む)、最終処分場管理等
SDGsゴール 11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
対象国 パレスチナ
対象地域(州・県名) 西岸のオリーブ産地(北・北西部)
対象国・地域の現状 オリーブ及びオリーブオイルはパレスチナの主要産品のひとつであり、約8万〜10万家族がオリーブ・オリーブオイルから第一次的あるいは二次的な収入を得ている。2017年には87,799トンのオリーブが搾油され、国家輸出戦略(2014-2018年)ではオリーブオイルが優先産業第2位とされている。

搾油過程で大量に排出される搾油滓及び搾油廃液は環境負荷が高く、土壌や水資源に悪影響を与える可能性がある。搾油滓は、適切に処理すれば高付加価値な資源化製品に転換することが可能であるが、西岸では、各農家で飼料、肥料や、着火剤として一部消費されるほかは、多くが遺棄されている。

パレスチナ自治区は、国家開発計画アジェンダにおいて、広域行政カウンシル(複数の小規模自治体が行政サービスの効率的提供のため結成した組織)や官民連携の推進を通じて民間部門の投資機会創出に繋げることで、廃棄物管理サービスを改善していくことを目指している。同自治区の廃棄物発生量は、西岸では2,622トン/日、一人あたり0.91kg/日で、有機ごみが50%を占める。排出された廃棄物の65−70%は管理埋立地にて処分、残りは違法投棄され、資源の再利用は進んでいない。他方、管理埋立地の供用期間には限界がある。イスラエルの占領という特異な状況下、土地へのアクセス・利用の制約及び入植地の拡大の影響を受け、新規埋立地の建設は困難である。持続的な廃棄物管理の実現にあたっては、廃棄物の発生量及び処分量の減量化が課題である。
解決すべき課題 オリーブオイル搾油滓は高負荷価値な資源化製品に転換することが可能であるが、現状では個人で一部消費されるほかは廃棄物となっている。オリーブオイル搾油滓の活用(例:燃料、肥料等)により廃棄物発生量の減量化及び再利用に寄与する技術・ノウハウにニーズがある。
活用が想定される製品・技術・ノウハウ オリーブ搾油滓の資源化
市場規模 パレスチナ全土で搾油用に収穫されるオリーブは年間8−10万トン、オリーブオイル生産量は2万トン前後。オリーブオイル生産過程で75%(約6万トン)が廃棄物となる。オリーブオイルの生産は、西岸北・北西部がその7割程度を占める。西岸で稼働可のオリーブ搾油機は合計246台で、うち238台は全自動式となっている(2017年統計局)。
関連する公的機関 パレスチナ国民経済庁、農業庁
その他、地方自治庁、広域行政カウンシル、自治体が関連
関連するJICAの方針 日本はパレスチナ自治区において20年にわたり廃棄物管理分野を支援してきた。JICAのこれまでの支援では、廃棄物管理にあたる自治体や広域行政カウンシル、監督機関である地方自治庁の能力強化を実施してきた。2020年7月に開始した技術協力プロジェクトでは、廃棄物減量化に焦点をおき、中間処理の導入や3R(Reduce, Reuse, Recycle)の推進等による発生抑制及び埋立廃棄物の減量化に向けた関係者の能力強化・制度づくり支援及び試験的な技術の導入の支援を行うこととしており、その一環として、ベイトジャラ市において、オリーブ搾油滓と古紙から固形燃料を製造・販売する実験的事業を準備中。同市では、年600〜700トンのオリーブ搾油滓が排出されている。
関連するODAプログラム・プロジェクト 【パレスチナ自治区内】
●技術協力プロジェクト「ジェリコ及びヨルダン渓谷における廃棄物管理能力向上プロジェクト」(2005−2010年)
●技術協力プロジェクト「パレスチナ廃棄物管理能力向上プロジェクト フェーズ2」(2015−2019年)
●JICA技術協力プロジェクト「廃棄物管理能力向上プロジェクト フェーズ3」(2020年-2023年)
●無償資金協力「パレスチナ廃棄物管理に関する収集及び運搬改善計画」(2019−2024年)

【他地域での関連案件】
●モロッコ国「油温減圧式乾燥機の導入によるオリーブ搾油滓の資源化のための案件化調査」(2017−2018年)
●モロッコ国「油温減圧式乾燥機の導入によるオリーブ搾油滓の資源化のための普及・実証事業」(2019−2022年)
留意点
リスク
備考
参考動画

このページは、当機構が契約するスパイラル株式会社情報管理システム「スパイラル」が表示しています。