民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 08-548-0247)

対象分野 保健医療
対象分野詳細 保健医療
SDGsゴール 3. すべての人に健康と福祉を
対象国 タンザニア
対象地域(州・県名) タンザニア全土
対象国・地域の現状 タンザニアは、1990年から2015年までに5歳未満児死亡率が191から49(出生千対 MDGS目標値64)に、乳児死亡率が115から35(同 MDGS目標値38)に低下し、大きな改善が見られる。一方で、妊産婦死亡率は529から398(出生10万対)へ低下したものの、2017年は556に悪化し、母子保健の改善は大幅に立ち遅れている。
タンザニアにおける医療費の自己負担率(2014年)は24%、健康保健加入率は15%、1万人あたりの医師数は0.37、看護師は3.27名と医療従事者不足及び都市部への偏在が深刻であり、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けた、適正な個人負担額での医療アクセス、特に地方部における保健サービスの提供・質の向上、保健行政及び医療施設の管理、中核病院制度強化等の課題がある。
疾病負荷について、死亡要因は未だHIV/AIDSなどの感染症や母子保健関連の要因が上位を占めているが、その割合は10年間で減少傾向にある。一方、心疾患や脳卒中などの非感染性疾患 (NCDs: Non Communicable Diseases) が増加している。
解決すべき課題 <共通>
国家デジタルヘルス「National Digital Health Strategy 2019-2021」が策定されており、デジタルヘルスシステムを通じた良い健康改善を目的として、デジタルガバナンス強化、継続ケアや質の担保のためのデジタルヘルスサービスの活用促進などが優先課題として挙げられている。
<母子保健>
妊産婦死亡率が悪化傾向にある中、母子保健の改善は政府の優先課題となっており、包括的救急参加ケア整備の充実、子宮頸がん・乳がん対策強化に関しての需要が今後増加すると考えられる。
<感染症>
HIV/AIDSは依然として最も負荷の高い疾病のひとつであり、マラリア及び結核と併せた三大感染症対策は大きな課題である。また、コミュニティに近い医療施設での検査機器の不足・不備による住民への検査サービスへのアクセスが課題となっている。
<NCDs>
がん、心疾患、糖尿病、高血圧などの非感染性疾患が急増しており、政府はNCDsプログラムを2019年11月に開始するなど対策を強化している。NCDs対策全般として発症前の予備軍を特定し、早期発見・早期治療対策が推進されている。また、デジタル機器を含めてX線などの画像診断機器が大きく不足しており、老朽化も進んでいる。
活用が想定される製品・技術・ノウハウ <共通>
ICT・eHealthの活用が重要視されていることから、遠隔診療に関する製品・技術・ノウハウへの関心が高い。
<母子保健>
包括的救急参加ケア整備の充実、子宮頸がん・乳がん対策強化に関連する製品・技術・ノウハウ。
<感染症>
コミュニティに近い医療施設での検査機器の不足・不備を解消し、住民への検査サービスへのアクセスを可能とさせるPOCT (Point of Care Testing) 機器。
<NCDs>
NCDs対策全般として発症前の予備軍を特定し、早期発見・早期治療対策をするための製品・技術・ノウハウ。デジタル機器を含めたX線などの画像診断機器やその整備技術・サービス。
市場規模 タンザニアの総人口は56,318,348人であり(2018年 世銀)、東アフリカ共同体加盟国では最大の人口を有する。タンザニア最大都市のダルエスサラームに500万人以上が集積している。
<公共市場>
公的医療施設の数は9,290(病院295、保健センター796、ディスペンサリー6,874)で全体の82.5%。(2019年 HSSP IV中間レビュー)公共施設は、政府予算が限られている中、District Health Facility Financing (各県がもつ現場の裁量で使える予算)や自主財源(診療費や現金負担分や国民健康保険基金 (NHIF: National Health Insurance Fund) からの診療報酬)を活用して医療用品を調達。更に規模の大きい病院ではNHIFからのローンを利用して自主的に病棟建設や医療機器調達を行っている。
<民間市場>
民間医療施設のうち比較的規模の大きい病院や保健センターを合わせても150未満だが、近年、ダルエスサラーム校外を中心に公立病院の医師が開業する小規模クリニックが急増している。デジタル機器の導入は民間施設が進んでおり、買い替えや整備需要もあると考えられる。
関連する公的機関 保健省、大統領府地方自治庁 保健局

公共施設への新製品・サービスの導入提案については、まず保健省と協議することが必要。各州への参入の際には大統領府地方自治庁の保健局の承認を取ったうえで、各州・県保健局と協議を進めることが適切。
関連するJICAの方針 対タンザニア連合共和国国別開発協力方針(2017年9月)
重点分野3 ガバナンス・行政サービスの向上
開発課題3-2 行政サービスの改善
(保健システム強化プログラム)
関連するODAプログラム・プロジェクト 技術協力「地域中核病院マネジメント強化プロジェクト」(2015-2020)
留意点 ・公立医療施設のうち、大統領府地方自治庁管轄下の県病院以下の施設は、タンザニアの医療用品の公共調達機関である医療品調達局 (MSD: Medical Stores Department) から医療用品のを調達することが規程されている。保健省管轄下の州病院以上はMSDを通さず直接民間から調達することが認められている。
・タンザニアでは未登録の医療機器の製造販売・輸出入・流通は禁止されている。タンザニア医薬品医療機器局 (TMDA: Tanzania Medicines and Medical Devices Authoroty) への登録申請が必要。
リスク 現政権下では、タンザニア国民の雇用確保の観点から、不法外国人労働者の摘発や、技術移転が期待される高度技能者以外の外国人への労働許可書の発給制限が行われている。急な法改正や施策の適用により、現場における運用で混乱が生じやすい状況が見受けられる。
備考
参考動画

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