対象分野 | 教育 |
対象分野詳細 | 初等教育 |
SDGsゴール | 4. 質の高い教育をみんなに |
対象国 | ラオス |
対象地域(州・県名) | 首都ビエンチャン、ルアンパバーン県、サワンナケート県、チャンパサック県など |
対象国・地域の現状 | ラオスの初等教育純就学率は98.8%にも上っているが、教育の質的課題は依然として大きく、初等教育最終学年(5年生)残存率は79.6%と、5人に1人が小学校を卒業できていない。2017年のラオス教育スポーツ省の調査では、特に算数能力について、3年生の約8割が十分な習熟度に達していないという結果が出ている。四則計算の能力の低さは高校卒業レベルでも頻繁に指摘され、成人の労働生産性の低さの原因のひとつになっているとも推測される。このような状況下、教育スポーツ省は初等教育のカリキュラム改訂を行い、2020年9月までに1〜3年生向けの算数の新教科書、新指導書が導入されている。 |
解決すべき課題 |
上述のような背景から、ラオスの算数学習については以下の課題がある。 @良質な学習環境の不足:適齢期の学習児童・学生が、良質な算数教育を受ける機会が限られており、学校の授業以外での学習機会が少ない。 A都市部と地方の教育格差:地方にはラオス語を母語としない民族も多く、理解度が下がる傾向にある。また、北部を中心に多くの学校で複式学級が導入されているものの、教員に対する複式学級指導法の訓練が施されておらず、十分な学びを得られない児童が多い。(全体の約3割が複式学級である。) B教員の質:ラオスの教育システムを卒業した教員は、算数能力が総体的に低いため、指導能力に限界がある。また、2018年に導入された新カリキュラムおよび指導法について、教員が十分に理解していないケースもあり、それを補完するための研修も実施頻度が低いため、授業の質が確保されていない。 |
活用が想定される製品・技術・ノウハウ |
(1)アダプティブラーニング(適応学習)の技術を活用したデジタル学習教材、クラウド型学習システムや、オフライン型デジタル学習教材、高度圧縮技術による授業動画配信などを活用した児童向け学習サービス。(ラオスの民族語に対応できるものが望ましい) (2)教員向けの算数教材や、指導法に関するビデオ教材等、距離を超えて学べるデジタル教材(オフラインや通信環境が悪くても稼働するものが望ましい)。 |
市場規模 | |
関連する公的機関 | ラオス教育スポーツ省(MOES)、ラオス国立大学教育学部(NUOL) |
関連するJICAの方針 |
ラオスの持続可能な発展に向けた日本・ラオス開発協力協同計画の「産業の多角化と競争力の強化、そのための産業人材育成(教育の強化拡充) 対ラオス国別援助方針の重点分野「教育環境の整備と人材育成」および重点課題「理数科教育分野を中心とした教育環境の整備」ならびに「教員の質と学校運営の改善」 |
関連するODAプログラム・プロジェクト |
無償資金協力「教員養成校整備計画」(2020-2025) 技術協力プロジェクト「初等教育における算数学習改善プロジェクト」(2016-2022) 草の根技術協力事業「初等教育における複式学級運営・学習指導能力改善事業」(2018-2022) 草の根技術協力事業「ラオス北部地域の教員養成校指導教官の能力強化を通じた複式学級運営改善事業」(2018-2022) |
留意点 |
(1)ラオス政府の財政悪化の背景から、教育スポーツ省を顧客/ビジネスパートナーと想定としたビジネスモデルは、政府による予算措置が困難になる可能性が高いため、官需だけでなく民需も合わせたビジネス展開計画の検討が必須となる。 (2)低い教育の質の要因として教材の質の他に、教員の資質や学習者の言語理解能力(地方にはラオス語を母語としない民族も多い)などの複雑な背景への理解が必要である。 (3)事前調査にあたっては、教員、とりわけリソースが少ない僻地の教員のための自学ツールとしての活用可能かどうか、また、複式学級に対応できるか考慮すると良い。 (4)コロナの感染拡大を受けて、ラオス政府は遠隔教育の効率的な実施を検討しているところ、デジタル教材を展開する場合は特に公立校への展開を念頭に事業計画を策定することが望ましい。 |
リスク | |
備考 | 首都ビエンチャンでは学習支援産業が少しずつ拡大しているが市場規模は現時点では不明。 |
参考動画 |
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