民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 07-636-0210)

対象分野 農業
対象分野詳細 加工・流通・輸出振興
SDGsゴール 1. 貧困をなくそう
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
対象国 ルワンダ
対象地域(州・県名) ルワンダ全土
対象国・地域の現状 ルワンダは労働人口の約6割が農業従事者であり、国内総生産の約3割が農業セクターによるものとなっており、農業は重要な産業となっている。別の課題シートで述べている通り、農業の土地生産性が低水準な上に、収穫後処理が不十分であり、多くの収穫後ロスが生じている状況にある。収穫後ロス率は作物によって異なるが平均で30%と見積もられている。例えば、メイズは26.5%(2015)、米は17.7%(2015)、アイリッシュポテト45.5%(2015)、キャッサバは43%(2014)、豆は15%(2014)、トマトは39.5%(2016)、ミルクは33%(2014)となっている。
収穫後処理が不十分である主な原因は、パッケージ(収穫物の雑な袋詰めによる農産物のロス)、貯蔵、流通(コールドチェーンを含む)、管理に係る設備・技術・ノウハウ不足となっている。さらには、市場志向の農産物生産がなされていないことや農産加工業が未発達である点も挙げられている。
また、ルワンダ政府は新型コロナウィルスの封じ込め策として、ロックダウン施策をとり、また同施策解除後においても、購買力低下による個人顧客及び観光業の落ち込みによるホテル・レストラン等の大口顧客の農畜産物(野菜、ミルク、肉類、卵等)への需要が減少している。DRC等の近隣国への輸出も減少している。
また、消費者物価指数(2020年7月)が、一般物品・サービスの前年度比は11.5%増である一方で、野菜の物価指数が29.3%増となり、特に野菜の過度な値上がりが見られ、更なる需要の低下を招いている。
解決すべき課題 ・農作物の収穫後処理の不適切さ(収穫後農産物の損失の多さ)、市場志向型が弱い農業、農産加工業の不足
・新型コロナウィルスのような急な農産物需要の低下への対応
・新型コロナ禍におけるマーケットアクセスの確保・マーケットの多様化
活用が想定される製品・技術・ノウハウ 農作物の収穫後処理を向上させる製品・技術・ノウハウ、市場情報が適切に行きわたる技術・サービス・仕組み、及び農産加工業のバリューチェーンを構築・向上させる技術・ノウハウ・仕組み。現状の案は以下の通りとなるが、これに限定するものではない。

・農産物やミルクのバルク輸送・販売用のパッケージ技術(通い箱、ローリー等)やアフォーダブルなコールドチェーン技術(保冷資材等)
・実際に使われる市場情報提供サービス (既存のESOKO+の改良)
・収穫後ロスの削減や品質向上による価値向上(投資対効果)を勘案した、農産物の貯蔵・加工・保存技術/設備(新型コロナによる急な需要低下にも対応)、収穫後処理機械
・収穫米の石抜機等の品質向上に資する技術や器具
・農家や農協が都市部の顧客に直接販売するデジタル・ICT等の技術・ノウハウ・仕組み(カーシェアリング等の安価な輸送手段の確保も含む)
市場規模
関連する公的機関 農業・畜産資源省(MINAGRI: Ministry of Agriculture and Animal Resources)
農業局(RAB: Rwanda Agriculture and Animal Resources Development Board)
国家農業輸出振興機構(NAEB: National Agricultural Export Development Board)
関連するJICAの方針 重点分野:農業開発(高付加価値化・ビジネス化)
開発課題:農業開発
協力プログラム:付加価値農業・ビジネス振興プログラム
関連するODAプログラム・プロジェクト ・技術協力プロジェクト「小規模農家市場志向型農業プロジェクト(SMAP)」2014年‐2021年、「灌漑水管理能力向上プロジェクト(WAMCAB)」2019年‐2024年、「コーヒーバリューチェーン強化プロジェクト(CUP)」2017年‐2020年
・無償資金協力「ンゴマ郡灌漑開発計画」(2014年度)、「ルワマガナ郡灌漑施設改修計画」(2017年度)
・個別専門家「農業政策アドバイザー」2019年‐2021年
留意点 ・可能な限りアフォーダブルな製品・技術・ノウハウが求められる。
・市場情報提供サービスに関して、既にルワンダ政府はESOKO+を提供しているものの、農家や農協に活用されていないと言われている。本ESOKO+がより使われるための改良、ユーザーに対する新技術の活用方法に係る効果的な普及啓発に加えて、ユーザーの活用インセンティブを高める工夫が必要。 
・現状では、農産物の輸送は、多くの場合、自転車や人力で行われている。
リスク
備考
参考動画 [VR360度]ルワンダにおけるトマトバリューチェーンで発生する収穫後ロス(2分52秒)

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