民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 12-245-1704)

対象分野 その他
対象分野詳細 ジェンダー平等推進
SDGsゴール 5. ジェンダー平等を実現しよう
対象国 メキシコ
対象地域(州・県名) 全域
対象国・地域の現状 世界経済フォーラムによる「グローバルジェンダーギャップ指数2022年版」によると、メキシコは146か国中31位と高位に位置しており、比較的ジェンダーギャップが小さいと言える(なお、日本は116位)。ただし、女性の経済活動への参加という点では、146か国中113位と下位に位置している。
2020年3月の国家統計局(INEGI)のデータによると、15歳以上の人口の経済活動への参加率は、男性の76.4%に対して女性は44.9%となっている。給与についても、男女間で平均14.4%の差があり、特にサービス業では41%の差があった。また、2021年は、メキシコ内上場企業の取締役に女子が占める割合はわずか10%であった。メキシコ競争力研究所(IMCO)によれば、女性の経済活動への参加を促すことができれば、2030年には2020年のGDPを15%上回ることと予測している。
女性の経済活動への参加率の低さの主な理由として、女性が家事・育児などの無償労働に多くの時間を費やしていることが挙げられる。無償労働へ従事する時間を男女で比較すると、女性が週当たり49.8時間であるのに対し、男性は約半分の26. 3時間であった。この背景には、家事・育児のための施設・サービスの不足、男女間役割分担の固定観念、男性の育児休暇の少なさがあると考えられる。例えば、有償労働に従事する女性のうち76.1%が保育園などの育児サービスを受けられていない。また、事務所が独自に実施したメキシコ人女性へのインタビュー調査によると、「家事・育児は女性がやるべきという意識があった」「家族・親族から女性には教育は必要ないと言われ勉強を続けられず、家庭に入るしかなかった」という意見が挙げられた。
地域間のギャップも大きく、都市部が女性の経済活動への参加率が48.7%(男性は74.3%)に対して、人口2500人以下の村では34.7%(男性は80.1%)であった。例えば、南部のチアパス州では31%であり、メキシコ内でも最も女性の経済活動への参加率が低い。
なお、メキシコ政府においては、Instituto Nacional de las Mujeres(国家女性庁:INMUJERES)を中心にジェンダーギャップに取り組んでおり、2008年からPrograma Nacional para la Igualdad entre Mujeres y Hombres(男女間平等に向けた国家プログラム)を制定している。2020年〜2024年版では、女性の経済的自立、家事・育児の見える化と分配など6つの優先課題を定めている。
解決すべき課題 ・職場環境における女性の働きにくさ、男女間の待遇の違い
・男女間役割分担に対する固定概念
・現在女性が担っている家事・育児の重い負担
・公共交通機関や道路、職場、世帯内等、様々な空間におけるSGBVの発生
活用が想定される製品・技術・ノウハウ ・女性が働きやすい職場環境を作るための知識・技術(在宅勤務を実現するための製品等)
・家事・育児を効率的に分担・実施するための技術・ノウハウ(デジタルソリューション含む)
・SGBVの予防・撤廃に役立つ製品(被害者による通報-警察による対応-その後の被害者ケアに向けたアプリを含むデジタルソリューション、監視カメラを含む防犯グッズ、電灯等)
市場規模 メキシコ競争力研究所(IMCO)の試算によると、国および企業が820万人の女性が経済参加を促進するアクションをとった場合、2030年のメキシコのGDPは2020年比で15%向上すると試算されている。
関連する公的機関 国家女性庁(INMUJERES)、州政府のジェンダー関連部門(Secretaria de las mujeres など)
関連するJICAの方針 グローバルアジェンダとして掲げる「ジェンダー平等と女性のエンパワメント」に合致する
関連するODAプログラム・プロジェクト
留意点
リスク
備考 政治的観点では、法令により女性の政治参画が規定されており(クオータ義務化、政党候補者へのパリテ導入)、2022年10月時点での議会における女性の占める割合は上院が49.2%、下院が50%となっている。このことから、女性の社会参画には行政的なイニシアティブも期待されている。
さらに、ジェンダー平等に深刻な影響を与えている問題として、ジェンダーに基づく暴力(SGBV)の存在があげられる。例えば、2021年の国家統計局のデータによると、当地における15歳以上の女性の70.1%が何らかの暴力(心理的・身体的・性的・経済的等)を受けたことがあるとされており、更に51.6%が心理的暴力、49.7%が性的暴力を経験している。これらの被害は、女性や女児の心身の健康と平和を脅かすとともに、被害者への支援サービスの費用から刑事司法制度による対応の費用に至るまで、地域の社会や経済に多大なダメージや損失をもたらしている。
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