民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 03-045-1706)

対象分野 廃棄物管理
対象分野詳細 収集・運搬、中間処理(3R、焼却、コンポスト化、分別等を含む)、最終処分場管理等
SDGsゴール 11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任
15. 陸の豊かさも守ろう
対象国 モンゴル
対象地域(州・県名) ウランバートル市
対象国・地域の現状 都市化の進展によりウランバートル市(以下、UB市)の固形廃棄物が増加しており、その減量、適正処理が課題となっている。一部のコミュニティでは分別回収などが行われているが、分別に関する明確なルールはなく、区が中心となって方向性を定め、リサイクル事業者とコミュニティが個別に契約をするケースが多い。最終処分場では、ウェイストピッカーが運び込まれる廃棄物の中から有価物を集め、リサイクル業者に販売している。さらに廃家電製品や廃自動車も増加傾向にあり、家畜の残渣(死骸)や家畜用薬品を含めた有害廃棄物の適正処理も問題になっている。モンゴルでの有害(危険)廃棄物の定義はあるものの、具体的な品目は定めがなく、有害性を示すもの全般と認識されている。有害廃棄物は主に産業廃棄物であり、排出業者の責任で環境省から許可を受けた各処理事業者に収集運搬から処理を委託している。市内の不法投棄に対して廃棄物法による罰則規定が示されているが、運用が徹底されていないことや、処理に関する環境省の監視能力も弱く、実際の処理状況が不透明であること、現在処理ができない有害廃棄物は一時保管施設に保管する方針であり、今後のその適正処理が課題となっている。
市の廃棄物管理を担当するUB市都市整備局(City Landscaping and Cleaning Servicr Department、以下、CLCSD)が保有する収集運搬や処分場整備のための機材は老朽化が進み慢性的な機材不足の状態であり、増え続ける固形廃棄物の収集運搬や、最終処分場での覆土等の適切な処理に困難が生じている。
モンゴル国内では廃棄物のリサイクル施設も限られ、更に国外に廃棄物を持ち出すことも中露に挟まれた地理環境やバーゼル条約等の影響で難しい状況であり、モンゴル国内で発生する有害廃棄物を含めた廃棄物の減量、適正処理及びリサイクルを促進させることが重要である。しかしながら、増加・多様化する廃棄物に対するUB市の技術、財務、法制度整備は、いずれも不足している状況であり、今後環境汚染、公害問題に発展する恐れがあるほか、都市の成長を阻害する要因になり得る。
解決すべき課題 1)廃棄物の減容化及びリサイクル
最終処分場に搬入される廃棄物の減容化のためには、リサイクル可能なものを分別・回収して収集運搬することが望ましいが、発生源の近くでの分別は実施体制の課題もあり限定的な実施に留まる。リサイクル技術・設備を導入し、それらの活用を前提とした収集運搬体制を構築し、資源の有効活用を図ることが期待されている。
2)有害廃棄物処理
処理ができず最終処分場に埋め立てができない有害廃棄物は適切な処理が可能になるまで一時保管施設に保管する方針であるが、年々増加する廃棄物に対して根本的な解決には至っておらず、担当機関は強い危機感を抱えている。他国及び民間企業の技術・製品の導入が期待されている。
活用が想定される製品・技術・ノウハウ 廃棄物の減容化、リサイクル技術・設備
有害廃棄物の無害化/処理技術・施設(精緻な分別を前提とせず、ある程度多様な有害廃棄物を受け入れ可能なものが望ましい)
アパート地区やレストラン等の食品残渣堆肥化技術
ゲルストーブで使用した燃料(石炭等)灰のリサイクル技術
市場規模
関連する公的機関 ウランバートル市
自然環境・観光省、建設・都市開発省、食料・農牧業・軽工業省
モンゴル廃棄物リサイクル連盟
国家環境汚染削減委員会
関連するJICAの方針 対モンゴル国 国別開発協力方針
重点分野(2)環境と調和した均衡ある経済成長の実現
開発課題2-3 環境にやさしい安全な都市の開発
関連するODAプログラム・プロジェクト 1)開発調査:モンゴル国ウランバートル市廃棄物管理計画調査(2004-2007)
フェーズ1:UB市の廃棄物管理に対する実態把握調査及びマスタープラン策定
フェーズ2:フィージビリティ・スタディ(FS)及びパイロットプロジェクトによる検証
フェーズ3:モニタリング及びフォローアップ
2) 無償資金協力:モンゴル国ウランバートル市廃棄物管理改善計画(2007-2008)
無償資金協力事業による、衛生埋立最終処分場(ナランギーンエンゲル処分場)の建設、ごみ収集運搬車両供与、車両整備機材供与、その他機材供与及びソフトコンポーネントによる個別技術の指導が行われた。
3)技術協力プロジェクト:ウランバートル市廃棄物能力強化プロジェクト(2009-2012)
技術協力プロジェクトによる現地技術指導、人材育成、本邦研修、市民啓発、さらにシニア・ボランティアの派遣が行われた。
留意点 モンゴル国内ではリサイクルに対する統一的なルールが定まっておらず、アルミ缶や段ボール等一部のリサイクルが地区単位やコミュニティ単位で進められている程度である。国内の人口の半分を占めるウランバートル市でも市場規模は大きいとは言えないが、日本との関係は良好で政府機関の本課題への関心も高く、日本企業への期待は大きい。増加を続けるモンゴルへの輸入品(日本から輸出された中古品も多く含む)が、国内で十分処理・リサイクルされずまた国外への持ち出しもできず埋め立てられているのが現状であり、国際資源循環の観点からも本課題へ取り組む意義は大きい。
厳冬期のウランバートル市は気温がマイナス30度程度、夏季は30度程度を記録するなど年間を通じて気温差が激しいため、機材や施設の導入にあたってはこのような環境下で運転が可能であることが求められる点、留意が必要。
他ドナー等の支援により、食品残渣の堆肥化、ゲル地区からの灰の分別回収が試験的に行われている。
リスク
備考
参考動画 [VR360度]モンゴル国ウランバートル市の廃棄物処理の現状(2分2秒)

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