民間企業の製品・技術の活用が期待される開発途上国の課題

(課題シートNo. 09-512-0353)

対象分野 教育
対象分野詳細 初等教育
SDGsゴール 4. 質の高い教育をみんなに
対象国 ガーナ
対象地域(州・県名) ガーナ全域
対象国・地域の現状 ガーナでは、初等教育の純就学率が87.3%(2018年)まで到達するなど着実に教育の量的拡大を遂げている一方で、子どもの学力については依然大きな課題を抱えている。2018年のサンプル学習状況調査における小学校6年生の基準未到達は算数で79%となっており、特に理数科分野での子どもの学習成果の改善が喫緊の課題である。教科書をはじめとする教材も不足しており、小学校における教科書の配布率は算数52%、理科48%に留まる。このような状況のなか、JICAは2020年3月より「みんなの学校」プロジェクトを開始し、へき地の公立校を対象に学校運営委員会の機能化を通じて算数を中心に児童の学力向上を図っている。
また、新型コロナウイルスの感染拡大によりすべての学校・教育機関が2020年3月から一時休校となり、遠隔学習の必要性が急増した。教育省・ガーナ教育サービスはドナーの支援を受け、遠隔学習の拡充に急遽取り組んでいるが、休校措置の開始から遠隔学習プログラムの提供まで時間を要した。また、通信環境が整っていない地域や家庭では遠隔学習へのアクセスが難しい。そのため、休校期間中に多くの児童・生徒が学習機会を損失している。9か月間の休校期間を経て2021年1月18日より幼稚園、小学校、中学校が学校再開となったが、ガーナ国内では新型コロナウイルスの感染者数が急増している。コロナ禍が終息するまでは再度休校措置となる可能性もあり、さらなる学習機会損失が懸念される。
解決すべき課題 上述のような背景から、ガーナの基礎教育分野においては以下の課題がある。
@理数科を中心とした良質な教材の不足:教科書が一人1冊行き渡っていないため、家庭での学習が行いにくい。ガーナの伝統的な授業スタイルは教員による講義が中心で、児童が自ら練習問題に取り組む時間が十分とられているとは言い難い。
A遠隔学習システムとそのコンテンツ:新型コロナウイルスの影響は長期化しており、休校の長期化、また学校が再開しても再度休校となるリスクが高く、家庭学習の重要性が増している。休校期間中に十分な家庭学習ができない場合、学習機会の損失となる。

ガーナの小学校は全国に約25,000校、うち公立校は約15,000校、私立校は約10,000校となっており、とりわけ首都アクラのあるグレーターアクラ州においては私立校の占める割合が73%に及ぶ。都市部の私立校では、公立校と比べて学校運営が機能しており、サンプル学習状況調査においては公立校に比べて私立校の平均点が高いが、十分な学習成果が出ているとは言い難く、また教材も不足している。JICA「みんなの学校」プロジェクトはボルタ州、オチ州、イースタン州の全公立小中学校を対象としているが、同プロジェクトでカバーされない州の公立校・都市部の私立校児童を含め、自主学習教材やe-learningシステムにアクセスが可能である児童の学力向上に資する製品・技術・ノウハウが求められている。他方、通信環境が整っていない地域や家庭ではオフラインでも利用可能な製品・技術・ノウハウが求められている。
活用が想定される製品・技術・ノウハウ 児童・生徒が家庭で自律的かつ体系的に学習できる理数科分野の自主学習教材やe-learningシステム。
市場規模
関連する公的機関 教育省、ガーナ教育サービス
関連するJICAの方針 対ガーナ共和国 国別協力開発方針及び事業展開計画を参照
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/kuni_enjyo_kakkoku.html
同方針にて「人材育成」を重点項目と定め、基礎教育分野において、教育行政・学校運営の改善、現職教員の能力強化等を通じた初等教育における理数科教育の質の向上への支援を行うとしている。
関連するODAプログラム・プロジェクト 技術協力プロジェクト「みんなの学校:コミュニティ参加型学習改善支援プロジェクト」(2019-2023)
留意点 開発される教材がそれを必要としている児童・生徒に届くためには印刷、輸送、e-learningシステムや端末のメンテナンス等体制整備も重要である。開発された教材が活用されない事態を避けるために、教材開発に留まらず児童・生徒の利用に至るまでの包括的な仕組み作りを提案いただきたい。
リスク
備考
参考動画

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